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現在、骨董の市場は全国で大小合わせて約三百。とくに集中しているのは、やはり東京、大阪、京都、名古屋という大都市圏で、大きな市場ともなると四百人から集まることもある。一点の品物をこれだけの人数で、しかも海千山千のベテランや新進気鋭の業者どうしで競り合うのだから、そこにはおのずと駆け引きが生じ、さまざまな技が仕掛けられる。
そこで、プロとして市場に挑む心構えや技などについて、私なりに述べてみたい。
心身をベストの状態にして挑む
まず市場に挑む前日が肝要。大阪や京都の市場へ参加するとなると、関東から車で行く場合、高速道路を利用しても片道六、七時間はかかるので、現場についたら心身の疲労をとることを第一に心掛ける。疲労したままでは、競りの「ここ」という場面で集中力に欠けたり、長丁場になると途中で眠くなったりすることもある。そんな状態では、あの殺気だった空気が読めず、判断力も鈍ってしまう。そうならないために当日の身体をベストコンディションにしておくこと。車で行くなら高速を使い、競りの前日は夜遊びなどせず、浦団の中でぐっすり寝て、頭脳を身体の鋭気を養うことが大切である。だから、そのための経費を惜しんではならない。下手に惜しむと、その分どこかに「損」というしわ寄せがくることになる。ちなみに私は以上のほかに、宿で朝、座禅を組んで精神統一をしてから出かけるようにしている。
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